颯悟さんっ、キスの時間です。(年下御曹司は毒舌で腹黒で…でもかわいいかも?)
桐生颯悟はあきれ顔だ。そして何かに気づいたのか手を止めた。私の胸のあたりの凝視して。
人差し指を立てると、私のワンピースの一点を指さした。そこには褐色の点。桐生颯悟が日に2度も来るというのを聞いて吹いたときだ!
「ふうん? これ、シミ? コーヒーっぽいね」
「いや、あの、その、それはですね……」
「ああ、ひょっとしてコーヒーでも飲んできたの?」
「そそそそそんなことは決して!」
「化粧水買いにいくのは嘘で早百合さんに会ってきたわけ? ふうん。そうなんだ。ホントにキミ、わかりやすいね」
「あ、あ、アイスコーヒーが飲みたくて、その……」
「オレに内緒で? ふうん? 誘ってくれたら良かったのに。オレがいると困る理由でも?」
「スミマセン! あの、でも颯悟さん、チャンスじゃないですか? お子さんもまもなく独り立ちみたいですし、第2の人生を僕と歩みませんか、みたいな?」
ギロリ。鋭い瞳で私を睨みつけ、ずんずんと私の前にやってくる。桐生颯悟の胸から湯気が立ってるのはシャワーを浴びたからで、怒ってるからではないと信じたいけれど。
その湯気に混じった石鹸とシャンプーの甘く湿った匂い。それに相反して感じるのはものすごい怒りのオーラ。
怖くて後ずさりする。壁まで追いやられて、彼の手がマッハの勢いで頬を掠める。人生3度目の壁ドンも桐生颯悟だった。
しかも両手。