颯悟さんっ、キスの時間です。(年下御曹司は毒舌で腹黒で…でもかわいいかも?)
「キミ、聞いたの? 早百合さんの過去」
「はい」
「デリカシーもゼロ? プライベートにズカズカと土足で入りこんで恥ずかしくないの?」
「それなら颯悟さんだって、恋人でもない私にキスして同棲させて、そっちの方がデリカシーないですよ」
「それとこれとは違うでしょ。いまは早百合さんの話をしてるんだ」
「でも私が根ほり葉ほり聞いたわけじゃないです。早百合さんから」
「どうせキミが悠斗くんを変な目で見たんでしょ。だから早百合さんが説明したんじゃないの?」
うっ。図星だ。あのふたりが恋人かも、と思ったのは事実で、早百合さんがそれを察知した可能性もあるのも事実だ。私は桐生颯悟の顔を見るのがいたたまれなくなって俯いた。
「まったく。キミを見てるとイライラする」
「……すみません」
「ホント、最低」
私だってイライラする。好きなひとが他のひとを好きで。いっそこと桐生颯悟が早百合さんとくっついてしまえば、私だってイライラしなくてすむのに。
桐生颯悟の黒いスリッパが横を向いて私から離れていく。パタンと扉が閉まる音の方向に桐生颯悟が自分の部屋に入ったのがわかった。
私もシャワーを浴びて寝室に入る。この壁の向こうには桐生颯悟がいる。こんなに近くにいるのに、遠く隔てられた気がして、なんだか悲しくなってしまった。
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