題名のない恋物語
映画が終了して照明がつくと、理紗はボロ泣きしていた。他にも泣いているお客さんは大勢いたが、理紗はかなり感動したらしい。ちなみに俺も少し泣いた。
「ほら、とりあえずあっちのソファで休もう」
シアターを出てフロア内のソファに腰を下ろす。
「うう、美しすぎてしんどい」
「語彙力低下してるぞ」
「うるさい。顔洗ってくる…」
「いってらっしゃい。俺ここで待ってるな」
猫背状態でふらふらとトイレに向かっていく姿を見送ってから、俺はスマホを取り出した。
これからどうしようか。今は5時すぎだから夕飯を食べるにはちょっと早いし、解散するのも寂しい。
とりあえずゲーセンでも行けばいいかなって思ってたけど、感動して心が洗われてる状態でゲーセンに行ったらなんか雰囲気違うよなあ。