素直になれない

「あら!気になる?」


「いえっ、全然気になりません!」


後悔と恥ずかしさで顔が熱くなる。


「素直じゃないのね。女の子は素直が一番よ。じゃないと私みたいに行き遅れるわよー」


カラカラと笑う本庄さんに唖然としてしまい、場を去るタイミングをなくしてしまった。


綺麗な女性だけど、中身はすごくサバサバした人なのかな。


「和、あの見てくれだから結構モテるのよ。優しいし面倒見もいいから。でも彼に寄ってくる女の子達の中に特別な人はいなかったわね……と言うか、そういう目で見てないのよ。たった1人を除いては」


「たった1人……?」


「そう、私の知る限り和が大切にしている子は1人だけね」


大切にしている。


現在進行形のその言葉に思い出すのはいつかのアパートから連れ立って出てきた女性のこと。


今でも付き合ってるんだ。


「一途なのよね、あいつ」


点滴のクレンメを調節し、点滴の滴下速度を速めながら本庄さんは意味深な目で私を見つめてくる。



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