偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎
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稍たちがいるテーブルにやってきた野田は、勝手に稍の傍の椅子に座った。

「……今さら、ややさんに何の用ですか⁉︎」

沙知が稍の代わりに噛みつく。

野田のあとを追ってやってきた山田も、沙知の隣の椅子に腰を下ろす。

「ちょっと、(たすく)。どういうこと⁉︎
なんで、ややさんとこの店にいることを、野田課長代理なんかに教えちゃったのよ⁉︎」

沙知は、凄まじい目で山田を睨んだ。
こんなことなら、予約せずに行き当たりばったりのお店にすればよかったと、激しく後悔した。

「野田さんがお昼に社食で、沙知が『今日、ややさんにお台場で会うんだ』って話してたのを聞きつけたんだよ。そしたら『山田、西村さんと同棲してるなら、今夜行く店くらい知ってるだろ⁉︎』ってすっごい剣幕で……おれだって、麻生さんの迷惑になるようなこと、したくなかったよ」

野田は山田にとっては直属の上司だった。
だが、それでもここに来るまでの道すがら、何度も引き返すように促した。テラスの入口では身体(からだ)を張って止めようとまでした。

そのとき、海賊姿の店員がオーダーを取りに来た。

「この人たちはいいです」と言おうとした稍を制して、野田が勝手に注文する。
そして、沙知に向かって言った。

「……西村さん、悪いのはおれなんだ。
ここへは、山田に無理矢理連れてきてもらったんだ。山田を責めないでくれ」

それから、稍の方に向き直った。

「やや……頼む。おれの話を聞いてくれ」

そう言って、頭を下げた。

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