偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎

「そうと決まったら『契約書』や」

智史はそう言って、テレビボードの引き出しから、薄っぺらい紙を持ってきた。

テレビボードの上もいろんなもので散乱していたが、テレビは軽く五十インチ以上ありそうだ。

智史はまず、ローテーブルの上の散乱した郵便物の封筒をざーっと適当に端に詰めて「スペース」をつくった。

すると、ガラスの天板が姿を見せた。

次に、カウチソファの背にかかったシャツやスウェット類をこれまたざーっと端に避けて、座る「スペース」を確保した。

すると、シックなブラックの革張りの座面が姿を現した。

「おい、おまえも座れ」

智史に促され、稍も隣に腰を下ろす。
とたんに、ぱふーっと身が沈み込んだ。
ふっかふかの座り心地だった。

だが、ガラスの天板に広げられた紙に目を落として、稍は思わず息を飲んだ。


薄っぺらい紙は……「婚姻届」だった。

< 204 / 606 >

この作品をシェア

pagetop