偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎

稍の母は取り立てて料理が上手いわけではない。
専業主婦ではあったが、毎回ちゃんと鰹節や昆布から出汁(だし)を取るわけでもなく、顆粒だしを使ったりもしていた。
ごく普通の「関西のオカンの味」である。

稍は神戸から京都の祖父母の家に移って以降、まだ健在だった祖母から料理の手ほどきを受けた。もちろん「京のお晩菜(ばんざい)」だ。

にもかかわらず……まさか、母の味を「継承」していたとは。

……おかあさんとは、小学生の頃に離れたっていうのに。

稍は一つため息を落としてから、自分も蕎麦を食べ始めた。

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