偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎
「ふん……あんたは昔っから『ややちゃん』にべったりやったもんね。思い込んだらしつこいのも、父親譲りで腹立つわ」
登茂子が忌々しげに毒を吐く。
「息子なんて、損やわ。あんな痛い思いして産んで、女手一つで育てたったのに、好きな女ができたら恩ある母親なんて、どぉーでもようなるし」
登茂子は定年間際の年齢であるが、どう見てもアラフォーだ。若かりし頃に婦人服のバイヤーをしていただけあって、すこぶるセンスがいい。
今も一六八センチの長身を活かした光沢のあるシルバーグレーのパンツスーツを颯爽と着こなしている。
さすが、何人もの部下を従えるクールビューティ、「華丸の女帝」だ。
だけど、その気性の激しさからか、夫でも息子でも「男運」は乏しいようだった。