偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎

その後、稍はこの前智史に買ってもらったフロントリボンのマキシ丈のワンピに着替えた。

稍がパウダールームから出てくると、智史の方はダークグレー系でグレンチェック柄のスリーピースに空色のソリッドのタイを合わせて、着替えを終えていた。先刻(さっき)まではなかった、リムレスの眼鏡をかけている。

それから、二人で部屋を出て高層階用のエレベーターでロビーがある階まで下りていく。

ティーラウンジには、稍の父親がすでに到着していた。彼は、智史の顔を見て息を飲んだ。

「あ、青山…さん?……そんなわけ、ないよな?」

どうやら「あの頃」の父親に、今の智史は瓜二つらしい。

「もしかして……智史君?」

「ご無沙汰しております。青山 智史です」

智史が一礼する。

「この度はお忙しい中、お呼び立てして申し訳ありません」

そのとき、稍の父親は、智史の手がわが娘とがっちり「恋人つなぎ」になっているのを見て、目を見開き再び息を飲んだ。


「稍……どういうことや?」

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