偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎

「お…おかあさぁんっ!」

稍は精いっぱい叫んだ。

激しい揺れで、ドアも歪んだのであろう。
母のみどりが開けようとするが、なかなか開かない。

「稍っ!稍っ!」

みどりはわが子の名前を叫びながら、とうとう「火事場の母力(ははぢから)」でドアを開けた。

「お…おかあさぁんっ!」

すぐに駆け寄ろうとした稍を止める。

「稍、待ちなさいっ、ベッドから降りたらあかんっ、足ケガするからっ!」

確かに、床は散乱したもので足の踏み場もなく、危ない状態だった。
みどりはスリッパを履いていた。

「稍、とりあえず家から出るで。外は寒いから、ブランケットを身体(からだ)に巻いて」

みどりはコートを着ていたが、断続的に大きな揺れが感じられる最中に、ワードローブの(そば)に寄って稍のコートを探すのは危険だ。

稍が言われたとおりに巻くと、みどりがベッドにいた稍を「よいしょっ」と抱えた。

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