偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎

「明日から仕事やし、今日中に東京へ戻らなあかんから、早速、わざわざ今回神戸に来た用件を言うけど」

智史が口火を切った。

「……稍と結婚する」

そして、胸ポケットから封筒を出して中から用紙を取り出し、ソファの前のローテーブルに広げた。稍と智史が書いた「婚姻届」だ。

「あんたらに『証人』になってほしい」

智史がきっぱり告げた。
言葉遣いは「依頼」だが、その口調は「命令」だった。

みどりがふるふると、震え出した。

「……登茂子は……なんて言うてるの?」

洋史も膝の上に乗せた拳を、ふるふる震わせている。

登茂子は夫をみどり奪われた上に、息子をみどりの娘に取られることになる。

だが……「元凶」の彼らに、稍と智史の結婚を反対する資格はない。

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