偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎
「和哉さん、改めまして妻の稍です。
本日より、ここで働かせていただくことになりました。同じ部署で同姓は紛らわしいので旧姓で働かせます」
青山は従弟として、上司でもある魚住に「妻」を紹介した。
「妻の稍です。よろしくお願いします」
稍は丁寧に頭を下げた。さすがに少し慣れてきた。
「あぁ、よろしく、ややちゃん。
……やっぱり、綺麗なお辞儀をするなぁ」
魚住は、にやり、と笑った。
もしかしてこの人には、初めからなにもかもぜーんぶバレてるのではないか、と稍は空恐ろしくなった。
「おれも美咲をここで嘱託として働かせたいねんけどさ。でも、おれは旧姓の『岡嶋』では働かせやんと『魚住』で働かせるけどな。ヘンなのが勘違いして寄ってきよったらかなんからな」
稍にはすでに「山口」という勘違い野郎が寄ってきて、早速青山が「撃退」したところだ。
「せやけど、まず大和を幼稚園から保育園に入れ直さなあかんからなぁ。
……小学校に入って学童が利用できるようになるまでは、無理かなぁー」
魚住はテーブルの上で頬杖をついて嘆息した。
だけど、きっとこの人には自分の妻以外のことなど、どうだっていいことに違いない、と稍は思った。