偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎

「……新婚のあなたに、気を悪くしないで聞いてもらいたい、と言っても無理な話だとは思うんだけど……わたしね、この二年ほど……青山さんと……男女の仲だったの」

しかし、稍の表情がさほど変わらないのを見て、麻琴の方が驚いていた。

「……知ってたの?」

稍は静かに肯いた。

「……そう」

麻琴はふっ、と気の抜けたように笑った。

「最初、あなたを『八木さん』としてお会いしたときから思ってたんだけど。
あなたって、なんだか人の調子を狂わせるところがあるわよね?」

……そ、そんなこと、初めて言われましたけどっ?

「あなたが隣にいるときの青山さんがそうよ。
だれにも見せない顔をあなたには見せてる。
あの人が初めて『普通のオトコ』に見えたわ。
……あぁ、普通に嫉妬するんだって」

……はぁ? いつ、どこで、だれに『青山さん』が嫉妬したというんでしょう?

稍は「美しすぎる誤解だ」と思った。


「ねぇ、麻生さん……あなたどうして『八木さん』だったの?」

「えっと……それは……話せば長い『事情』がありまして……要するに、青山さんに会いたくなかった、っていうか……」

稍はどうしても、挙動不審なしどろもどろな説明になってしまう。

「青山さんと『幼なじみ』っていうのは本当なの?」

「はっ、はい、それは本当ですっ。小学校のときの同級生でした。でも、神戸で震災に遭って、お互い引っ越して離れ離れになったっていうか……」

稍は前のめりになって言う。

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