偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎

「ねぇ……麻生さん。
わたし、青山さんとは『男女の関係』だったけど、つき合ってたわけじゃなかったの」

それは、稍も聞いていた。

「なんでかなぁ……なにが、足りないのかなぁ。なにが、実際に結婚したあなたとわたしとでは違うんだろ?今回は、お料理とかも教室に通ったりしてがんばったんだけどなぁ。
……でも、青山さんはいつも、食べて、することしたら、さっさと帰っちゃうし」

……智くん、サイテーっ!

稍は心の中で叫んだ。

……麻琴さん、あなたのその「(うら)み」は、あたしが家に帰ってから存分に晴らしてみせますっ!
智史のヤツめっ、オンナの敵よっ、天誅だわっ!!

「わたしね、どうでもいい男からは好かれるんだけど、今までめちゃくちゃ好きになった男からはどういうわけか、好きになってもらえないのよ」

麻琴はボウモアのグラスの中のまん丸な氷を、指でくるん、と回した。

逆剥(さかむ)けになってることなんてありえない、しなやかで細長い指に、伸びたところだけが生爪になってるなんて絶対にない、綺麗に塗られたネイル。

……どう見たって、あたしなんかよりずっと完璧じゃん。

「めちゃくちゃ好きな人が、知らない間に結婚してたのって、実は青山さんが初めてじゃないのよねぇ……その初めては……魚住さんだったの」

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