偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎

「智くんも、あんなふうに見えて、所詮そういう男なんです……たぶん、料理に関しては魚住課長よりずっと『お手軽』じゃないのかなぁー。
彼のお母さんがキャリアウーマンで忙しかったから、市販の顆粒だしの味で育ってるんですよねぇ。野菜を摂ってほしくて、ほぼ毎夜『こなべっち』のような即席の鍋だしなんですけど、そんな出来合いの味でも、あんな深夜でも、智くんは残さずキレイさっぱりたいらげますもん」

麻琴は、ありえないものを見るかのごとく驚愕の表情を浮かべていた。

脳裏には透き通るような黄金色のスープストックが浮かんでいた。忙しい最中、休みの日を費やしてつくったスープだ。
これさえあれば、いつ彼が訪れても「万能」だと、青山のためにつくっていた日々が甦る。

「あ、味はちゃんといろんなメーカーのものを各種取り揃えて、飽きのこないように『工夫』してますよー」

稍は無邪気に、にこにこ笑いながら言った。

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