偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎
席を外して「給湯室」へ行き、稍のスマホのLINEを開く。
……パスコードも設定していないとは、不用心にも程がある。
おかげで智史が稍のスマホを操作できるのだが。
トークルームで【西村 沙知】を見つけて、無料通話をタップする。
アクアシティにある海賊の店で見かけたとき、一緒にいた子だと稍は言っていた。
ほどなく『ややさん?』と相手が出た。
「あの……稍の夫の青山と申しますが」
『は?』
素っ頓狂な声が返ってくる。
『ええぇっ、ややさん、結婚したんですかっ⁉︎
い、いつの間にっ⁉︎ だ、だれとっ⁉︎』
……稍のヤツ、まだ友達に言ってなかったのか?
智史は心の中で舌打ちする。
……おれは速攻で小笠原に話したぞ。
「初めまして、青山 智史と申します。
僕らはもともと小学校の同級生で幼なじみなんですが、稍が四月にうちの会社に派遣で来て再会したんです。お互い歳も歳だしということで話が進んで、このGWに神戸に帰って入籍しました」
智史は淡々と「ウソ設定」入りで説明した。
『ええぇっ⁉︎ じゃあ、ステーショナリーネットの人っ⁉︎ それって「運命の再会」じゃないですかぁっ!……あっ、ご結婚おめでとうございますっ‼︎』
沙知は大興奮していた。
そういえば、この前LINE通話で話したとき、稍が『さっちゃんに聞いてもらいたい、びっくりする話があるの』と言っていた。
すごく気になった沙知が「どんな話なんですか?」と食い下がっても『会ったときに直接聞いてほしい話なんだ』と教えてくれなかった。それから、『GWに神戸に帰ったとき、お土産を買ってきたからね』とも。
……突然、結婚することになった話だったんだ。