偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎

席を外して「給湯室」へ行き、稍のスマホのLINEを開く。

……パスコードも設定していないとは、不用心にも程がある。

おかげで智史が稍のスマホを操作できるのだが。

トークルームで【西村 沙知】を見つけて、無料通話をタップする。
アクアシティにある海賊の店で見かけたとき、一緒にいた子だと稍は言っていた。


ほどなく『ややさん?』と相手が出た。

「あの……稍の夫の青山と申しますが」

『は?』

素っ頓狂な声が返ってくる。

『ええぇっ、ややさん、結婚したんですかっ⁉︎
い、いつの間にっ⁉︎ だ、だれとっ⁉︎』

……稍のヤツ、まだ友達に言ってなかったのか?

智史は心の中で舌打ちする。

……おれは速攻で小笠原に話したぞ。

「初めまして、青山 智史と申します。
僕らはもともと小学校の同級生で幼なじみなんですが、稍が四月にうちの会社に派遣で来て再会したんです。お互い歳も歳だしということで話が進んで、このGWに神戸に帰って入籍しました」

智史は淡々と「ウソ設定」入りで説明した。

『ええぇっ⁉︎ じゃあ、ステーショナリーネットの人っ⁉︎ それって「運命の再会」じゃないですかぁっ!……あっ、ご結婚おめでとうございますっ‼︎』

沙知は大興奮していた。
そういえば、この前LINE通話で話したとき、稍が『さっちゃんに聞いてもらいたい、びっくりする話があるの』と言っていた。

すごく気になった沙知が「どんな話なんですか?」と食い下がっても『会ったときに直接聞いてほしい話なんだ』と教えてくれなかった。それから、『GWに神戸に帰ったとき、お土産を買ってきたからね』とも。


……突然、結婚することになった話だったんだ。

< 548 / 606 >

この作品をシェア

pagetop