偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎

麻琴は記憶を辿(たど)る。

……確かに、かなりのハイスペックなイケメンだけど。

そもそも、このホテルのバーには、なにも考えずにただ一人で呑みたいときに訪れていた。
周りにだれがいるかなんて、目に入っちゃいないのだ。

なので、麻琴は首を傾げて曖昧に笑った。

「……結構、女子にとっては記憶に残るタイプだと思ってたんだけど……ショックだなぁ」

松波が大袈裟に肩を落とす。

……それに、青山さんのことしか考えられなかった時期だったしね。

その「青山」を見ると……

愛する妻の(かたわ)らで、世にも険しい顔をして、
「渡辺、行けっ、行くんだっ!」
と口パクしながら、顎を何度もしゃくっていた。


……ひっ、ひどいっ!
「嫁のお礼」のために、わたしを売る気!?

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