君はいないのに今日も空は綺麗で、僕は泣いてしまった。

そんな毎日もいいんじゃないかな、と最近よく思うようになった。

前は、早く逢に好きになって欲しいって両想いになりたいって、焦ってたとこあるから。


そんなことを期待しなくなったこの世界では、ゆったりとしたこの片想いが楽しいのかもしれないな……



───人の賑わいと毎年恒例の音頭が遠くから聞こえる。

夏休みが始まり、もう七月も終わろうとしていた。


「よ、那知」

俺たちの高校がある地域で大きな祭りがあって、今日はそれに来ている。

前に四人で約束していたやつだ。


「ん、早いな」

理久は集合場所の駅前にある時計台にもう居て、遠目から何人かの女子がチラチラと見ていた。

やっぱ、こいつもモテるんだなぁ。

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