君はいないのに今日も空は綺麗で、僕は泣いてしまった。
だんだんと語尾が小さくなる逢も、照れているのかなと思うと愛しい。
「…那知も、私服…やっぱりかっこいいね」
恥じらいながら俯いてそう言った彼女の目に今俺は映っていない。
でも…嬉しい。
「…ありがとう」
淡い紅色に金魚や花びらが散りばめられた浴衣が、逢の綺麗さを引き立てていた。
普段おろしている長い黒髪も今は、アップにされていて細い首が露わになっている。
メイクも軽くしているようで、白い肌に紅色の唇が際立っていた。
この浴衣を、俺だけのために着てくれたら、って願っても止まない。
まぁ、そんなこと少なくともこの世界ではもうないと思うけれど。