君はいないのに今日も空は綺麗で、僕は泣いてしまった。


かき氷、クレープ、たこ焼き、りんご飴。

射的も、ヨーヨーも、彼女たちが行きたい場所は全部仰せのままに。


好きな子が楽しいなら、俺も楽しい。

「はぁ〜楽しいねっ」

日向のその声が聞こえる頃には、もう空は暗くなって屋台の光や提灯の明かりしか見えない。


「那知、逢ちゃん…あのさ」

言いにくそうに理久が頬をかく。


なんとなく、言いたいことは分かる。

「…花火、二人で見ちゃダメ…?」

だよな。


「…俺はいいよ、そうなると思ってた」

「私も、大丈夫。楽しんできてね」

逢もすんなりと了承し、二人は謝りながらありがとうとどこかへ行った。


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