君はいないのに今日も空は綺麗で、僕は泣いてしまった。

「あ、…いい、の?」

…それはどういう意味だろう。


「最初、裾って言ったから手はやっぱり繋がないのか、って思って……」

不思議そうにする俺に逢はそう答える。

…あぁもう、なんて可愛いんだ。


「うん、そうだね。最初から手、繋げばよかったな…悪い」

照れくさくてそっぽ向きながら言うと、彼女がくすっと笑った気がした。

「ふふ、花火始まっちゃう。早く行こう?」

あ、そうだな。

「こっち、いいとこあるんだ」

逢の手を引いてできるだけゆっくり歩く。


「わぁ、すごい…穴場」

「…だろ?子供ん時に母さんが教えてくれたんだ」

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