君はいないのに今日も空は綺麗で、僕は泣いてしまった。

──ひゅーーー…

──────ドォン


最後の、花火が紅色に散った。

やば…なんか、泣きそう……


ぐっと唇を噛んで、全ての本音を背中に隠した。

そっと手を離して、光を失った真っ暗な夜空を見上げる。


「那知…?」

「……ん、帰ろうか…」

カランカラン、と逢の下駄が誰もいない夜道に響く。

「足痛くねぇ?大丈夫…?」

ターミナルに向かう途中、少し屈んで逢の顔を除くように尋ねた。


「…うん、平気。那知が歩調合わせてくれてるから」

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