君はいないのに今日も空は綺麗で、僕は泣いてしまった。


「…そか、よかった」

俺たちの間を通り抜ける夏風も、沈黙も心地よくて澄んだ空気を吸い込む。


「あれ、…那知と雪白?」

不意に聞いたことがある声が聞こえて振り向くと、想像通りそいつが居た。


「…祐也」

「わ、ひろくん久しぶり!」

瀬戸 裕也。

こっちの世界でも、やっぱり爽やかで頭が良くて優しい人気者。

染めたことのないであろう黒髪が、逢とお揃いで二人並ぶとお似合いだなぁと思った。

同時に、ズキズキとした痛みが心を蝕む。

「終業式以来だね、二人とも」

「おう」

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