君はいないのに今日も空は綺麗で、僕は泣いてしまった。


【逢side】


「雪白はいつもの四人で行ってたんだね」

ひろくんの優しい声は暗い道によく響く。

「うん…」


左手にはまだ那知の手の感覚が残っているようで、思わず顔が熱くなる。

那知は時々、私に恋人のように接してくる気がして、何度も勘違いをしそうになる。


出逢いは突然で、バスの中で名前を呼ばれたことから始まった。

第一印象は“綺麗な人”だったかな。

ミルクティー色のさらさらな髪の毛が片方だけ耳にかかって、小さな黒いピアスがやけに目に付いた。

サッカー部なのに体質なのか、あまり肌は焼けていなくて、それに対比するような大きい真っ黒な瞳がとても際立っていた。

綺麗な鼻筋も形の整った薄い唇も、長いまつ毛もシャツから覗く鎖骨も全てが魅力的で。

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