君はいないのに今日も空は綺麗で、僕は泣いてしまった。
「はい、逢のチケット」
「えっ、払うよ!」
「…いーの。あー、じゃあ、今度は逢がなにか俺におごって」
それでいい?と彼女の顔を覗き込んで笑う。
「ありがとう、那知」
逢の笑顔が好きだ。
喜んでくれると嬉しい。
繋ぎなおした手が、暖かくて、すごく嬉しい。
大きな水槽を優雅に泳ぐエイとかサメとか。
小さな水槽にいる一匹の魚をふたりで探したりとか。
イルカとかシャチとか、アシカとかのショーを見たり。
「わぁ、可愛いー!見て、那知!」
時々、魚に夢中になる逢の横顔を眺めたりとか。
目が合って、慌てて水槽を見るとか。
ふたりお揃いのラッコのキーホルダーとか。
まるで、本当に付き合いたてのカップルみたいだ。
「うわ、もうこんな時間」
俺の腕時計は7:00をさそうとしていた。
水族館を出て、もう暗くなってしまった外へ出る。
歩いている道の端の木々は青と白のイルミネーションで彩られ、眩しいほどにとても綺麗だ。