君はいないのに今日も空は綺麗で、僕は泣いてしまった。


「はい、逢のチケット」

「えっ、払うよ!」

「…いーの。あー、じゃあ、今度は逢がなにか俺におごって」


それでいい?と彼女の顔を覗き込んで笑う。

「ありがとう、那知」

逢の笑顔が好きだ。

喜んでくれると嬉しい。


繋ぎなおした手が、暖かくて、すごく嬉しい。

大きな水槽を優雅に泳ぐエイとかサメとか。

小さな水槽にいる一匹の魚をふたりで探したりとか。

イルカとかシャチとか、アシカとかのショーを見たり。


「わぁ、可愛いー!見て、那知!」


時々、魚に夢中になる逢の横顔を眺めたりとか。

目が合って、慌てて水槽を見るとか。

ふたりお揃いのラッコのキーホルダーとか。


まるで、本当に付き合いたてのカップルみたいだ。


「うわ、もうこんな時間」

俺の腕時計は7:00をさそうとしていた。

水族館を出て、もう暗くなってしまった外へ出る。


歩いている道の端の木々は青と白のイルミネーションで彩られ、眩しいほどにとても綺麗だ。

< 285 / 359 >

この作品をシェア

pagetop