君はいないのに今日も空は綺麗で、僕は泣いてしまった。



それからまだもの足りないって顔をしている彼女の頬を撫でて、深くキスを降らせた。


気持ちっつうのは、矛盾ばかりだ。


俺なんか早く忘れて、他のやつと幸せになってくれ。



心からそう思っているのも本当で、
少し嘘が混じっているのも、本当。



「すき、那知」


頬や耳を真っ赤に染めて、俺にぎゅっと抱きつく。


「俺も、すき」


抱き返して、苦しくなるほど抱いて、思った。




やっぱり俺は、君の幸せを一番に願うよ。




風呂も、ふたりで作った晩ご飯も、手を繋いで笑いながら見たお笑い番組も、全部全部終わってしまう。


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