愛しているなんて言えない

「だったら、お互い急いで、相手を探さないとね。」

梨花は、どこか興奮しているように見えた。

もしかしたら、子供を産むタイムリミットに、焦りを感じているのかもしれない。


「ねえ、梨花。」

「なに？」

「どうして、女は子供を欲しがるのかしら。」


子供を産んだ途端に、離婚を考える昨今の女性を、私は理解できなかった。

もちろん夫婦の問題だから、なぜ離婚したかは、夫婦にしか分からない。

ただ傍から見ると、男性を種付けの道具にしか考えていないように、思えるのだ。


「こればかりはね。産婦人科医でも分からないけれど、患者さんがよく言うのは、『女に生まれからには、子供を産みたいじゃないですか。』と、『彼の遺伝子を次世代に受け継ぎたいんです。』だわね。要するに種の保存としか言えないわ。」