誠の華−ユウガオ−
息を呑み言葉を失う少女の姿が老人の視界の片隅に入る。
桜の樹の上では小さなうぐいすが鳴き方を母親に教わっていた。
しばらくその音に耳を澄ましながら老人は少女に分かりやすく伝えられるよう頭を捻る。
『新撰組局長 近藤勇は悪い奴だと言われて殺されてしまったんだ。ここで首を斬られて色々なところで見せしめにされた』
『なっ…、なんで?!どうして!こんどういさみはいいひとでしょ!なのになんで…』
自身の首を両手で触れながら理解ができないと言わんばかりに慌てふためく少女。