誠の華−ユウガオ−



徐々に総司の体温が失われているような気がする。


ヒヤリとしたものが背を伝う。


でも彼の願いを私が叶えて上げられるなら叶えたい。


“僕の願いは、雪が幸せになること”


ドクンッと一際強く脈打った。


“僕はこの先もずっと雪の側にいるよ。ずっと雪を見守ってる。だから、僕の大好きな笑顔を取り戻して幸せな姿を僕に見せて”


ポロポロと雫が滴る。


本当にずるい。

総司がいないと幸せになれないのに。

それなのに私に幸せになれって言うだなんて。



“ごめん、知ってるだろうけど僕は我儘なんだ”


知ってるよ。

総司のことは誰よりも私が一番知ってる。

意地悪で我儘で勇さんが大好きで新撰組が大好きで剣術が大好きでいつだって自分よりも私のことを優先してくれて大切に想ってくれて愛してくれた人。

私の最愛の人。


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