誠の華−ユウガオ−



胸倉を掴み返され怒鳴られると驚いて何も言葉が出なくなる。


でもそれも一瞬のこと。


「分かるよ、大切な人たちを失った苦しみは私にも分かる。だって仲間だから」


違う、もっと私たちの関係は深い。


まるで家族のような強く切れぬ絆や縁がある。


そんな存在を私達は短い期間で多く失った。


二度と会うことは叶わない。


「辛いよね、本当に。なんで私達がこんな思いをしなきゃいけないんだろうって何度も思ったよ。神様はなんて残酷なんだってね。でも私達はそれでも生きていかなきゃいけない。生き残った私達が死んでいった仲間達のために出来ることは敵討ちや討死なんかじゃない。彼らの分まで幸せになることなんだよ」


「…っ……、餓鬼のくせにっ……生意気言いやがって……」


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