誠の華−ユウガオ−



「雪さん、無理は言いませんが出来たらその殺気をしまってください。新政府軍に見つかったら二人では勝てないので」


申し訳なさそうに言う裕次郎の声も耳に入らないくらい私の怒りは頂点に達していた。


淀城までの距離はそこまで離れていないが、新政府軍に見つからない為に森を通っているため落ち葉で滑りやすくなっている上に木の根っこにも足を取られやすい。


「この調子ならあと四半刻くらいで着きますね」


「ううん、もっと早く着く」


そう言うと足の回転を更に上げる。


しばらく森の中を駆け抜けるうちに木々の隙間から淀城が見えて来た。


ホッとして裕次郎の顔を見ると同じような笑みを浮かべていた。


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