誠の華−ユウガオ−
吐き捨てるように男が言うといよいよ銃口が私に向けられる。
ごめん、総司。
裕次郎を抱き締めたまま目を固く瞑り心の中で総司に謝る。
帰れなくて、側にいれなくて、ごめん。
涙が浮かんだその時。
「うぐぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁあ!!!」
肉を切り裂く音と共に男の断末魔の叫びが響いた。
「誰だっっっ?!誰がやったんだ!!!」
「おっかねえ…!そこら中から苦無が飛んできやがる!!!」
焦燥に駆られた声が飛び交うなか私はひたすらに裕次郎を抱いていた。
怖い、死にたくない!
森に本来の静けさが戻るまでそこまで時間はかからなかった。
しかしあまりの恐怖からこの場から一歩も動けない。
すると肩にポンッと手が置かれた。
「殺すなら殺せ。見ての通り手負いだ」
どうせ反撃もできぬ身。
ならば最期を少しでも誇れる死に様にしようと声を挙げた。
「確かに酷い傷ですね。これは沖田組長が嘆きますよ」
慣れ親しんだ柔らかい声音に反射的に振り返る。
「や……まざき…さん……」