誠の華−ユウガオ−
「あー駄目駄目!泣かないでください!!淀藩が寝返ったと情報が入ったので様子を見に来たんですけど少し遅かったみたいですね」
眉をハの字にする山崎の視線の先には血に塗れた裕次郎の亡骸。
「可哀想だけど連れて行く余裕もありません。まだ新政府軍はそこらじゅうにいますし兎に角逃げますよ。捕まってください」
「大丈夫、怪我をしたのは手だけで足は無事」
「なら良かったです。少し無理をしてもらいますよ」
「舐めないで。手負いでも一番組組長なんだから」
最期に一度だけ後ろを振り返る。
「全てが終わったら、お花を手向けにくるね」
それだけ言うと私は山崎に続いて走り出した。