サトラレル
「……どうした?どっか痛くなったか?そんなに唇噛み締めてたら切れちゃうぞ」

心配そうに見つめる真ちゃんに、ふるふると首を横に振って何でも無いとアピールする。


ズキンズキンズキンズキン


大丈夫だと……今そう伝えたばかりなのに、急に頭が締め付けられたように痛みだしたのを感じた。


私は……康人とは、恋人として飽きられないように自分なりに努力をしてきたつもりだった。


私だって、真ちゃんと同じく彼を一途に想ってきたんだ。

だけど、今になって思う。

どんなに一途に想い続けたって、無駄な事はあるんだって。


……だって、もう私の手元には何も残っていない。


さっきから真ちゃんと会話をしているこのスマホは、真ちゃんのものだ。


私のスマホは、私を跳ねた車に踏みつけられて、跡形もないくらいにぐちゃぐちゃに壊れてしまっていた。


(康人)との想い出も、交わしたLINE(ことば)も、写真も、全て無くなってしまった。


康人はもう私じゃない人と一緒にいて、子どももできて、しあわせに暮らしている。



ーー ねぇ、真ちゃん。

芹ちゃんは、もう手の届かない所に行ってしまったの?もしそうだったら、一途に想い続けている想いはどこで報われるの?


思い出も無くして、もう手放さなければいけない気持ちなのに、心の中ではまだ康人への想いが残っていて、苦しくてたまらないんだ。



***


< 33 / 41 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop