今宵は遣らずの雨

兵部少輔の身体(からだ)が、初音を覆った。

「……おやめくだされ……初音は汚うござりまする」

初音は兵部少輔の下でもがいた。

「初音……今、おれに抱かれなければ、おまえは恐れをなして、金輪際、だれにも心も身体も開けなくなるぞ」

初音の動きがぴたりと止んだ。

「……初音……おなごの独り住まいの恐ろしさを、身をもって知ったであろう?
もう意地を張らずに、おれの側室になって屋敷に来い」

兵部少輔が初音の顔を覗き込む。

初音はくちびるを噛み締めた。

「くちびるを噛むな……」

ゆっくりと兵部少輔の顔が近づいてきて、初音とくちびるを合わせた。

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