今宵は遣らずの雨

小夜里は自分の腹に手をあてた。

膨らみなどまるで感じられない、平らなこの腹の中に……新しい命が芽吹いているとは。

小夜里はとてもとても信じられなかった。


ただ、これを逃すと、自分は一生、
人の親には……母にはなれぬであろう。

何故だかそんな気がした。

「これも定め、かもしれぬ」

小夜里は腹を決めた。
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