婚約破棄するつもりでしたが、御曹司と甘い新婚生活が始まりました
小鳥遊さんの言葉に「はあ」と小さく頷く。

これで自信を持てと言われてもピンとこないな。

来場者の受付が一段落すると、佐藤さんが箱の中のリボンを揃えながらボソッと呟いた。

「さっきはありがと」

これは私の聞き間違い?と思って佐藤さんの顔をマジマジと見る。

「え?あの……」

もう一度聞き返したら、彼女は少し頰を赤くしながらツンケンした態度で言った。

「ありがとうって言ったのよ」

やっぱり聞き間違いじゃなかったのか。

彼女はとっつきにくい感じの人だけど、悪い人じゃない。

「いいえ。本当にたいしたことはしてないですから」

小さく笑ってそう言うと、松本さんが「そこのふたり、無駄話はいかんよ」とおどけた顔で笑った。

彼女はきっと空気読んで場を和ませてくれたのだ。

私と佐藤さんだけだとすぐに沈黙しちゃうもんね。

でも、いつか佐藤さんとも仲良くなりたいな。
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