婚約破棄するつもりでしたが、御曹司と甘い新婚生活が始まりました
15、ずっとあなたの側に
それからふたりでタクシーで家に帰ると、もう午後十時近かった。

「瑠璃?何ボーッとしてるの?家に着いたよ」

玲人君にプロポーズされ放心状態の私は、玄関で靴も脱がずに突っ立っていた。

「ああ……うん」

返事をしてゆっくりと靴を脱ぎ、彼の後についてリビングに行く。

いつもの癖でソファにゴロンと横になり、天井をぼんやりと見つめた。

玲人君にプロポーズされちゃった。

まだ彼の声が耳に残っている。

『俺と結婚しよう』

これは夢だろうか?

だって、玲人君結婚は社会人として一人前になってからって言ってなかったっけ?

玲人君は一人前どころか、九条の経営に欠かせない存在になってるけど。

「なんかもう今日はいろいろありすぎて頭の中がごちゃごちゃしてる」

クシャッと髪をかき上げたら、彼の声がすぐ側で聞こえて驚いた。
< 248 / 256 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop