女の賞味期限
キッチンの方から、コーヒーを淹れる音がした。

「僕、本当は映画関係の仕事、したかったんだ。」

コーヒーカップを持って来てくれて、今度は、砂糖を持って来てくれた。

その行動に、キュンとする。


「これ……」

私は砂糖を見て、顔を上げた。

「遥香さん、ブラック飲み慣れてないでしょ。飲んでいる時の表情見て分かった。」

そんなところまで見ていたのかと思うと、恥ずかしながら砂糖を入れる。

やっぱり優しい。

そして男の子に優しくして貰えると、女も可愛くなれると思った。

だってこんなに大切にされた事、彼氏でもないもん。


「高校卒業したらさ、そのまま映画関係の仕事に就職できるものだと思ってた。でも、全部ダメ。ここでバイトしながら専門学校も通ったんだけど、スタッフとしても雇って貰えなくてさ。ほんと、情けない。」

その自分の身の内を語る大成君の表情が、さっきまでの私と重なった。

自分で自分を潰している。
< 59 / 103 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop