泡沫の夜


「やっと着いたー」


目的地の公園の駐車場に車を止めて、2人並んで園内をゆっくり歩いた。

足湯の場所はもう目の前だ。


「桜が咲いたら壮観だね、きっと」

「だろ?ほら、蕾少し膨らんでる。来週から暖かくなるらしいから、咲く時はあっという間だろうな」

「仕事じゃなくまた来たいね」

「来よう。また、2人で」


そうだねと答えて、伸ばされてきた手に自分の手を重ねた。

大っきくて温かい理央くんの手。

足湯の場所には誰もいなくて、ラッキーとばかりに貸し切りを楽しんだ。

湯質はサラサラしてて、少し熱いと感じるくらい。

湯につけてある部分が赤くなってきて、徐々に体がポカポカしてくる。

足しか浸かってないのに、全身が温まるのって本当スゴイ。

ほんわりと心まで暖かくなってきて、とても気持ちいい。


「羽奏、お風呂に入った後みたいに頬まで火照ってる」

「え、ホント?」


自分の頬を両手で触ると確かに温かい。

不意に伸びてきた理央くんの両手が私の手に重なった。


「……理央くん?」


目の前には理央くんの顔があって、なんだか妙に恥ずかしい。


「羽奏の頬、柔らかい……団子みてぇ」

え。

団子、ですか?





< 56 / 61 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop