泡沫の夜

「俺、羽奏の事、これからもすごく大切にする。だからさ、だから……」


理央くんの一生懸命な言葉が嬉しくて、すぐにでも同じだけの想いを伝えたかった。


「私も、理央くんのこと大切にするよ。大好き、理央く……っ⁉︎」


いきなり口を塞ぐようなキスに戸惑う。

次の言葉が出せずに目を瞬かせると、理央くんはなぜかホッとした様子で口を開いた。


「俺も好きだよ。でさ、これからもよろしく……ってことで、これも受け取ってくれない?」


目の前に差し出された細長い箱に、目が釘付けになる。


「出すタイミング失いそうで、ヤバかったぁ。羽奏もう満足って感じだからさ」

「これって……」

「そ。1ヶ月記念日のプレゼント」

「えぇっ?そんな……私何も……」


だって、1ヶ月を特別だと思ってない私が、理央くんのサプライズに気づけるはずもなく。


「ちゃんと分かったから。羽奏にとっては、俺との毎日が特別なんだってこと。このプレゼントには、俺の魂胆が含まれてるから、遠慮しないで貰ってくれると有難い……てか、もう黙ってられなくてバラしてるから情けない話だけど」


理央くんの言葉の意味が、よく分からない。

それでも言われるままにプレゼントを開けると、ビロードのケースの中には桜色の宝石が並ぶブレスレットが入っている。

「つけてあげる」

「あ、ありがとう……」



理央くんによって私の左手に収まったそれは、淡く優しい光を放っている。


「羽奏、似合ってる」

「ありがとう、嬉しい!」


理央くんの優しさに感動して涙で視界が滲む。


「あー、そういう可愛い反応されるとさ、少し罪悪感だ、な」

「どうして……?」


理央くんが苦笑いしながら耳元で囁く。


「俺ってめちゃくちゃ独占欲強いので。それは、俺から貰ったんだって、ちゃんと周りに言ってな?」


「う、うん。でも、どうして……」


そんな意味深な言い方をされたら気になるよ。

理央くんを見上げると彼は意地悪く笑って口を噤んだ。

一体なんだって言うんだろう?


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