泡沫の夜
『ちょっと、羽奏さんっ!』
その日の夜、ものすごい剣幕で華さんから連絡が入った。
昼間、あのファミレスで携帯の連絡先を交換していたのだけど、早速連絡くれるとは思わなかったな。
相手がなんだか不機嫌なんだけど、私は単純に喜んでしまった。
華さんが16歳だと聞いてから、可愛い妹ができたみたいな気分だもん。
そんな可愛い妹からの電話に、自然と顔がにやける。
「どうしたの、華さん」
『理央からアクセ貰ったって、ホントなの?』
「う、うん。よく知ってるね」
『だって、理央が鼻の下超伸ばしてうちのお兄ちゃんと話してるの聞いちゃったの!てか、なんなの。私だってずーっとアクセ欲しいって言ってたのに〜』
「華さんは、この前お店で何か買ってもらってたよね?」
『違うの!欲しいのは服とかバッグとかじゃなくて、アクセなの!束縛アイテムなの!』
「そ、束縛?」
その言葉を聞いて、気付いた。
そういえば私達も高校生の頃、そんな言葉を聞いたことあったなって。
地味で目立たない私は、勿論学生時代付き合った人なんていなくて、友人達が彼氏からプレゼントをもらって、それが束縛の証だと話していたのをなんとなく聞いていた。
所詮私には関係のない話だなって、そう思ったことを覚えている。