その音が消える前に、君へ。
ただ約束は約束だ。
果たすことに意味があるそうは分かっていても、声が震えて上手く伝えられない自信がある。
人と関わることを避けてきた私が、すぐに誰かと打ち明けて関係を作るのは難しい。
そんな私を知ってか、陽菜乃達は男子を交えて放課後に色々誘ってくれるようになった。
「今日は商店街の肉まんをみんなで買って、そのまま図書館で勉強しよう?」
その提案に高木さんも村上さんも賛成し、陽菜乃は夏休みの臨海学校で同じグループだったメンバーひも一人一人声をかけた。
しかし榊くんには、私がという陽菜乃の企みが見え見えな事を押し付けてくる。
緊張しながら榊くんへと声を掛けに行く。
「さ、榊くん……」
振り絞ったその声は可愛げも何一つない。
それでも榊くんは笑顔で、なに?と返してくれる。
その安心感に流されてはいけないとは分かってても、そのままの流れで話を続ける。