その音が消える前に、君へ。


「夏休みのメンバーで、その、放課後勉強会をしない?あ、商店街で肉まん買ってから……」

「俺が居てもいいの?」

「もちろんだよ」

「分かった、放課後ね」


反応を貰い、また放課後と逃げるように陽菜乃の元へと駆け寄り賛成を貰えたことを伝える。

夏休みによく私二人きりで会話出来てたな……とちょっと前の自分が羨ましく感じる。

自然な会話をしたいのに、それができなくなっている。

この感情の答えを見つけない方が、もう少し私らしくいれたかもしれない。

でもこの感情を見つけてなかったら、こんなに榊くんと関わろうとはしていない。

陽菜乃によく頑張りましたと頭を撫でられ、高木さんに村上さんに抱きつかれる。

楽しいと思える、この青春は作り物なんかじゃ……ない。

信にこの事を言ったら、なんて言われるだろうか。

自分に小さく笑い放課後を楽しみにしながら、午後の授業を頑張っていると窓の外に広がる空が怪しくなってきた。


< 90 / 142 >

この作品をシェア

pagetop