その音が消える前に、君へ。


そわそわする心を抑えながら、授業終了のチャイムが鳴り響くとクラス全体が大きく弾ける。

1日の終わりは誰にだって開放感を与えるもので、それは私にも同じだ。

荷物を持って陽菜乃達が私の机の周りにやって来る。


「やっぱり真面目ちゃんは、授業中に帰りの支度なんかしないかー」

「ひなったら本当に早く片付けてて、授業中笑いそうになったよ」

「肉まん食べたくて、ついね」


流石食いしん坊だけあるな、なんて思いながら急いで荷物を片付けて帰る支度を終わらせる。

支度が終わった頃に、男子達もぞろぞろと私の机の周りに集まってきた。


「一雨振りそうだから早めに行こう」


グループのリーダーだった荻野くんが、そう提案して早足で学校を出て商店街へと向かった。

他校の学生達の姿もちらほらと見える中で、私は後ろに着くようにしながら歩いた。



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