花に美少年

「熱はだいぶ下がってきているみたいだね」

「薬飲んだら治りますか?」

「まあ、ただの風邪だろうからね」

「インフルかと思った」

喋り方からして若そうな患者さんが、鼻をすする音が響く。

「何か風邪ひくようなことした?」

「夜中に家の近所を彷徨ってた」

「・・・目的は?」

ドクターが少し困惑したような声を出すから、思わず笑いそうになった。

「人捜しって言うか・・・」

「ああ、彼女にフラれたとか?」

「・・・彼女ではないです」

片づけを終えて診察室の奥に下がる。
どうやら隣の部屋の患者は失恋をしたらしい。
私と一緒だ。

「それが風邪の原因かもね」

「うーん・・・」

「とりあえず薬出しとくから」

ドクターが診察を終える気配を感じて、次のカルテを持って2番の部屋に繋がるカーテンの前に立つと、

「・・・猫、拾ったんです」

鼻声の患者さんがまた、会話を始めた。

「猫?」
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