花に美少年

直後、誰かも確認することなく開いた扉の中から、もう見慣れた顔が現れる。

「おかえり、めいちゃん」

柔らかそうな髪を揺らした湊結児が私を出迎える。

「仕方ないから、帰って来ただけだから」

「うん。荷物、重くなかった?」

「金欠だから、たいして買ってない」

「持つよ」

「・・・ありがとう」

私の右手から、ハンバーグの材料の入った袋を取った結児君が部屋の中に戻っていくから、私も渋々中に入る。
女慣れした男子高校生は、無駄に気も利くらしい。

「私って、料理が上手くないらしい」

「そうなの?でもこの前のオムレツ美味しかったよ?」

「たまたまじゃない?」

二人で立つには狭いキッチンで、ハンバーグの具材をボールに入れていると、湊結児が何か言いたげな顔で隣に並ぶ。
ちょっと邪魔だ。

「ねえ、向こうで待っててくれない?」

「誰かに言われた?」

「え?」

「めいちゃんの料理、美味しくないって」

「それは・・・」

気が利く上に、無駄に鋭い。
< 76 / 190 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop