花に美少年
直後、誰かも確認することなく開いた扉の中から、もう見慣れた顔が現れる。
「おかえり、めいちゃん」
柔らかそうな髪を揺らした湊結児が私を出迎える。
「仕方ないから、帰って来ただけだから」
「うん。荷物、重くなかった?」
「金欠だから、たいして買ってない」
「持つよ」
「・・・ありがとう」
私の右手から、ハンバーグの材料の入った袋を取った結児君が部屋の中に戻っていくから、私も渋々中に入る。
女慣れした男子高校生は、無駄に気も利くらしい。
「私って、料理が上手くないらしい」
「そうなの?でもこの前のオムレツ美味しかったよ?」
「たまたまじゃない?」
二人で立つには狭いキッチンで、ハンバーグの具材をボールに入れていると、湊結児が何か言いたげな顔で隣に並ぶ。
ちょっと邪魔だ。
「ねえ、向こうで待っててくれない?」
「誰かに言われた?」
「え?」
「めいちゃんの料理、美味しくないって」
「それは・・・」
気が利く上に、無駄に鋭い。