花に美少年
早くこの場から離れて欲しくて、冷静を装いながら振り返ると、カッターシャツと紺色のスラックス姿の男子高校生が、甘く目尻を緩めて私を見下ろした。
「じゃあ着替えて待ってる」
「・・・っ」
そうやって無邪気に笑うのはずるい。
さっき大人ぶったくせに、今は素直にキッチンを出て行く背中を、私はまともに見ることが出来なかった。
「うん!めいちゃん、やっぱり料理上手だ!」
「・・・大袈裟」
あれから、悶々としながら作ったハンバーグはどうにか上手く完成し、待ちに待っていたらしい結児君は、その顔を嬉しそうにほころばせながら、まだ熱いそれを口に運んだ。
「本当のことだよ。でもさ、」
「ん?」
「何で、人参?」
お皿に載せた人参をフォークに刺した結児君が、不満そうに私を見る。
「美味しいよ?」
「・・・嫌がらせ?」
「もちろん」
ニコリと笑ってあげると、結児君は顔を顰めてから、渋々嫌いな人参を口にした。