消える世界で、僕は何度でも君に会いにいく。



前に責められていた時を思い出して、心が痛む。


あんなことが日常茶飯事。


むしろそれが、彼女の当たり前。



苦痛も泣き言も。


彼女はあの明るい笑顔の裏に隠していたんだろうか。



全部隠して笑っていたんだろうか。


何事もないように振る舞って、一人で泣いていたんだろうか。


何を言われても、理由をひた隠しにして取り繕ってきたんだろうか。



自分が傷付けられても、嘘をつき続けて……



『私は自分のために、数えきれないくらい悪い嘘ついてる』


前に彼女にそう言われたけど。



僕にはそれが悪い嘘だとは思えないんだ。


自分を傷付けてまでつく嘘が、自分のための嘘だとは思えないんだ。



「畑中さんがついていた嘘は、本当に悪い嘘?」


「え……?」


「前に言ってたから。だけど、僕にはどうしてもそう思えないんだ」


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