消える世界で、僕は何度でも君に会いにいく。



自分でも何を言っているんだって思うけど。



ただ、彼女が一人で抱えてきた秘密を共有できることが嬉しい。


苦悩をさらけ出してくれたことが嬉しくて、嬉しくて仕方ないんだ。



安心できないなんて、そんなの息が詰まる。


常に気を張っていないといけないなんて、そんなのあんまりだ。




僕は、彼女の居場所になりたい。



愚痴でもいい。文句でもいい。


苦しいことでも楽しいことでも、日常の些細な出来事でも何でもいい。


本音を吐き出せるような、そんな存在になりたい。



話を聞いた今、心の底からそう思う。



「人の顔を覚えられないなら、無理して覚えなくてもいい。
僕のことが分からないなら、分からないままでもいい。
忘れてもいいよ。その代わり、僕が君を覚えてるから」


「直人、くん…」


「僕はもう無知じゃない。君の苦しみも、悲しみも、もう知っているから。
時間がかかっても、僕は何度でも君に会いに来るよ。
大丈夫、僕はここにいるから。今、君の前に」


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